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■悲と緋とそのツミの甘きコト■



*微グロ注意!!







はっ… はっ… はぁ…っ


虚無の中を裸足で駆け回る。
ただ、只管に。闇雲に。宛ても無く。


ただただ、重苦しくなるばかりの身体を叱咤して。





「…どうした、その手。」

不意に、手を掴まれた。

「あ…いえ、ちょっと転んだだけです。」

にこりと微笑み、自分の手を引き寄せ取り戻す。
見られ、握られた手の平は血豆で表皮は堅くなっていて、指先は赤く皮膚が薄くなり肉の紅さが分かるほど。
爪は殆ど欠けていた。

「………まぁ、いい。」

アッシュは暫し黙り込んだ後、背を向けた。
個人には他人には絶対不可侵の領域がある。
それに足を踏み入れないという意思表示。

その背を、張り付いたような笑みが見つめる。



日が沈み、月が昇り夜を告げる。
ああ、早くしなければ。
また、自分はあの夢を見るだろう。


ごめんなさい。
ごめんなさい。

泣き腫らした瞼を無理矢理開き、紅い地を踏みしめる。

其処彼処に転がるは、今日、アッシュが殺めた神託の盾の兵士達の骸。

共に行動をしている限り、彼の罪も自分の罪。
『見ていない』『知らなかった』は通用しない。


この目で、彼らの死に様を見て。
この耳で、彼らの断末魔を聞いたのだから。

知らなかった、はそんな彼らを…いや、散った命を冒涜する行為。



ごめんなさい。
ごめんなさい。



紅く乾いた地面に膝をつき、両手でその地面を掘る。

がりがりとする音は、地面がを掘る砂の擦過音?
それとも、砂粒に抉れ、削られていく自らの爪や指の音だろうか?


そんなコトはどうでもいい。



…一ツ…、二ツ…、三ツ…四ツ…
あぁ、今日の亡骸は五つだ。


指さし数え、そう考えた。
切られた手や足が、頭の数と違うのはきっと。
それを獣が食べてしまったからなのだろう。
人間も、自然の食物連鎖に加わる生物。
息絶えてしまえば後は土に還るか、肉となる。

そんなコトを思いながら、転がり落ちている頭を両手で拾い上げる。
血と土で汚れているその顔は、生きている内にはしないであろう形相。
死体となって筋肉が強張っているそれを少し強めに撫で、眠りの表情へと変えてあげる。



―…オヤスミナサイ。

小さく、そう呟いては掘った地中へと還してあげる。
それを、繰り返す。






毎夜、あの人が誰かの命を散らす度にこうして墓を建てる。
亡骸が無い時は、墓標だけを。

自分が殺めた命ではない。
けれど、自分は知ってしまっているから。

あの人と、共に生きると心に決めているから。


(…―あの人の罪は、自分の罪。)


血と泥に塗れた手で、近くに生えていた花を手折る。
名も無き墓標だけでは、死人は浮かばれないと思うから、それをせめて添える。


「…ごめんなさい」


言葉と共に、涙も。



目を逸らさないように、釘で瞼を打ちつけてしまおうか。
耳鳴りが止まない耳だけど、全てを聞き逃す事が無いようにしなければ。

非は、悲へ。



何時になったら、自分は涙を止める事が出来るのだろうか?


―――貴方への愛を募らせる度、帰路を無くす自分が居た。




■■■■
突発的&微グロ文でごめんなさ…;;
因みに一応、自主規制かけたので本当に微グロ。
もうちょっとグロにした方がよかったでしょうか?(ぇ)

マッドちっくにしてみたのですが…単にイタイだけかも?(笑))

因みに、テーマソングはあさきの『ツミナガラ…と彼女は謂ふ』です。マッド系のらぶなので(笑)