■理想の相手■

「…やめなさいっ!」

ガラスよりも脆く、気丈な態度に怯えながらの罵声。
「これ以上、馬鹿なことは―」

恐怖からか、普段より多弁に吠える相手。
あんまりにも煩いから、その口にシーツを詰め込んでやったらそれはピタリと止む。…当然か。

凄く腹立たしくなるけど、凄く好きな声を塞ぐのは嫌ったんだけどな。
まぁ、予想通り過ぎてつまらないから、だけど。


「…そんな目で見ないでよ」

悔しさからか、涙を滲ませながら睨み上げてくる眼。
哀れみなんて感情、僕に湧くと思う?

「目茶苦茶にしてやりたくなる…」

思わず顔に笑みが浮かべば、相手は目を見開いて畏怖を映す。

細い体に頼りない腕力。
透き通るような肌に白い髪。
儚いって言うのはこんな感じなんだろうね。


「ね、僕がお前の事好きって言ったらどうする?ディスト。」

聞いている最中、呆然とした顔。

頭に入った後…嫌悪を示した目。

あぁ、本当に。


「理想の相手、かな」