■甘味恋話■

「な、なぁ。ギンジってさ…甘い物…好きそう、だよな?」


久々の自宅での午後の一時。
並べられたクッキーよりも先に手を伸ばしたのはイチゴのショートケーキ。
そのケーキのイチゴを眺めて頬を微かに染める親友。

そして問い掛けられた言葉に目を丸くしたのは、俺。

「いきなりだな…」
「そ、そうか?いや、何となくな…」

眉を寄せて言葉を返せば明らかに動揺を隠す親友。


「…えっと…あー…なんだ、話代わるけどさ、なんか苺のショートケーキって幸せな気分になるよな…」

「………どうしたんだよ、ガイ…」

ごめん、正直キモい…と言いそうになる言葉を飲み込む俺。


「ケーキって言ったらまず大低は苺のショートケーキが思い浮かぶだろ?シンプルで、甘くてふわふわでさ。
庶民の視点から言えばケーキってのは普段祝い事で食べるのが基本だ…でもその中でショートケーキは
シンプルかつ身近。高級ケーキよりは確かに質素かもしれないが凄く魅力的なケーキなんだよ」


並べられた数々のケーキを眺めながら語る親友。
音機関程熱弁じゃないけど、甘ったるい雰囲気だしながら語る様子に俺は思わずお代わりの紅茶に砂糖を
いれたくなくなった。

「確かに高級ケーキは美味しい…だが俺はショートケーキの可愛いらしさと甘みが1番だと思う…
癒されるというか…」


ザッハトルテとフルーツタルト、プリン、アップルパイをテーブルの端に追いやりながらショートケーキ
片手に更に語る親友。


「遠回し過ぎる物言いは逆効果ですよ、ガイ」


「…簡潔に教えてくんねーか?ジェイド;」

「ガイは貴方とアッシュが繋がっているのを利用してギンジの情報を得たいということですよ」

「……」


…俺の親友は阿呆だったらしいと思った瞬間だなんて、口が裂けてもいえない…かもしれない。


■□■□
ザッハトルテ→ティア
フルーツタルト→ナタリア
プリン→アニス
アップルパイ→ノエル
です(笑)