■未来の標■

冷たい雨。


冷えた指先。


霞んだ視界。

……溢れるのは、何。




たった一秒、されど一瞬。
確実な未来なんてなくて、預言ですら本当は相俟なもので。
預言通りに過ごせば、本当に平穏という確証は無い。
未来は何通りだってある。
微々たるズレがあるだけ。
でもそれは重なれば大きな歪みであって。
思っている程、未来は不明瞭で…


…残酷なんだ。



「…ジェイド…」

足元に横たわる人。

違うだろ、アンタは普段なら俺と居る位置が反対だ。
戦いが終わって、情けなくもへたばってる俺をアンタは涼しい顔して覗き込むように見下ろすんだ。


なんだよ、いつもは馬鹿にする癖に。
なんでだよ、そんなところで寝てるなんでアンタらしくない。

煩い、うざいんだよ、見えない、邪魔だ、この雨!


あぁ、ジェイドが濡れてる。水溜まりに髪が散らばってる。

赤い水溜まりが広がっていく。
雨に打たれても気にせずジェイドは瞼を閉じたまま。

―…綺麗だ、と思った。


ばしゃ、と水を弾いた足。
膝をつき、その白い頬を包んで拾い上げる。



……未来なんて、残酷だ。



■□■□
いつ死んでもおかしくない世界だよなー、一秒先すら絶対は有り得ないよなー、とか考えながらルク→ジェ妄想(笑)
預言は一つの可能生の標であって、未来は幾重にも可能性はあって。
でもこんな未来は望んでいない、望むわけがなくても先は不明瞭で。それなら絶対に一つしかなく、望める未来、絶対的な預言を
欲しくなるような気が…しないでもないような?(笑)


それはもう預言でなく過去の記録的なものですよね