■だって普通の人ですもの■
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「無意味に触らないで下さい」 「へ?」 初めて聞いた、拒絶の言葉。 初めて見た、相手の怒りを滲ませた表情。 それだけで、思わず思考が停止してしまうのは俺だけじゃない筈だ。 「…おや、嫌われてしまいましたか?」 「お前なぁ…サラッと嫌なこと言うなよ!」 ソファの上で寛いでいた自分とギンジの近くで本を手に取っていたジェイドがクスクスと笑う。 いくら冗談とは言え、今そう言われれば結構傷つく。 「嫌いって程でもありませんが…あんまり嬉しくない、です」 口を尖らせ不貞腐れたまま、そう言ってギンジは軽く俯いて視線を泳がせる。 普段は滅多にそう言ったことを言わない相手が言うということは相当不快なのだろう。 「煩わしいのか?」 「……」 ちらりと視線だけを向けるということは、無言の肯定。 どうやら原因は頭を撫でることらしい。 「撫でられるの、好きだろう?」 「…そりゃ、嫌いじゃないですが…でも、あんまり無意味に撫でられるのは…」 「あぁ、ペットのような気分になるという感じですか?」 「……はい」 大した用件もないのにグランコクマに呼ばれては私室に居座らされ。挙句、まるでペットのブウサギ達と同じような 待遇を受け続けていれば流石にギンジといえどもうんざりするだろう。 いくらギンジでも、怒る時は怒るらしい。 ―…というより、彼は何気に子ども扱いされたりするのが好きではないのもある。 「お前さんの頭を撫でるのは殆ど無意識に近いからなぁ…」 「余計にタチ悪いです。」 「…っく…ははは…っ」 眉を下げてがくりと項垂れるピオニーと、腕を組んでツンとソッポ向くギンジ。 まるで、お預けを喰らった犬とその飼い主。 ジェイドは溜まらず小腹を抱えて噴出した。 |
■■■ うわ、更新超久々ですよ!!; そしてほのぼの…(笑) ピオニーもジェイドも大層な地位や通称がありますが、やっぱり普通の人なんです。そしてギンジも庶民中の庶民なワケで。 そしてそれが一番普通でほのぼのしたことなんだろうなぁと。 |