■Present for you.(アシュギン&ルクノエ)■

「…なぁアッシュ。やっぱりアレしか無いんじゃないか?」

「………」


ケセドニアの露店の前に並ぶ紅と朱の髪。

紅は終始眉を寄せ、小難しそうに腕を組み。
朱は眉を下げ、悩むように頭を掻きむしっている。


「邪魔にならなくて、ちゃんとお守り効果があって、装飾も過多じゃないのって…コレくらいだと思うんだけど…」

朱が指したのは、シンプルな作りの指輪。
紅はそれに視線を向け、更に眉間の皺を深くした。


「……」
「…な、なんだよ」


何か言いたげな紅の視線に、朱はたじろぐ。
その視線にいつもの罵声をヒシヒシと感じる。


「お客さん、早く決めてくれなきゃ営業妨害で役人呼ばせて貰いますよ?」

一体何時間この店に居座っているのか。

痺れを切らした店主が苛立つような口調で二人を咎める。


「……だってさ。」
「…煩ぇ」

後頭部で腕を組む朱に、紅は小さく返す。


「後はお前だけだろ?俺はもう買ったし…」

朱はそう言って小さな紙袋を持ち直す。
中には簡素ながらも綺麗な髪飾りが入っている。


「アイツなら何でも喜びそうだけどさー…。でも色々考えたらやっぱコレが最適だと思うんだけど」

「………」

邪魔にならなくて、装飾も派手じゃなくて、お守り効果がある物。


紅は暫く考え、

「…これをくれ」


店に並ぶ装飾品の一つを手に取った。




「…喜ぶといいな」

「……屑が」


ようやく品物を紅が買った事に、にんまりと嬉しげに明るく笑う朱。

相手が喜ぶ顔が浮かぶのか、手にした紙袋をしっかりと握り締めてはどこか嬉しそうに薄く口元を緩ませた紅。


二人で買った、特別な贈り物。



■□■□
いつも一緒にいる仲間達。
その中でいつも影で支えてくれるギンジとノエル兄妹へのプレゼント。

ケセドニアの店を回って結局ルークは髪飾り、アッシュは指輪にしました。(笑)

兄も妹も整備とかで手首に何かあると邪魔だろうし、ネックレスは鎖が切れるかもしれないので。
指輪はシンプルなヤツならそこまで邪魔になりませんしね(笑)

…指輪を贈るのが恥ずかしくてアッシュは数時間悩んでたり(笑)