■歪曲(※ED後捏造)■

私の人生は何だったのだろうか。


ふと、暗く冷たい牢獄の中で考える。



私は音機関が好きで、

私はネビリム先生が大好きで、


私は、ジェイドを愛していて。


それだけ。
それだけの為に、私はひたすら無我夢中で今まで走って来た。


心臓が破れそうになっても、足が石のように重くなっても。
私は私の信じるままに、生きてきたのに。

この牢獄へと入れられてから、無理矢理足を止められた。

私は一人でも駆けねばならないのに。
その足を動かすものさえ、折られてしまった。


ジェイドは裏切った。
ジェイドは私を嘲笑った。
ジェイドは私を捨てた。


「………」


許せなくて、殺したくて




「おや、自慢のネイルが台無しですよ。サフィール」

ガリガリと血が滲む指先を、爪を噛んでいれば、現れたのは薄い微笑を携えたジェイド。


「殺してやる…殺してやる…」

ああ、そうだ。
私のなにもかもを奪い去ったのはこの男だ。

「…シンプルですね。好きですよ、そういうのは」

「殺してやる…」


もう、ここが何処なのかもわからない。
わからないことすらわからない。

ただ、眼前にいる男しか目に映らない。


「殺してやる…私を捨てた…私の全てを奪った…」


もう、噛む爪もない指先。

「えぇ。私は貴方の全てを奪い、捨てました。」


微笑んだまま、ジェイドは牢の中へ入る。
その細い指が私の頬を撫で、そっと包む。


「…だから、私を殺してくれますか?サフィール…」

与えられたのは、浮かべられた微笑のように温度が感じられない抱擁。


「…殺してやる…殺してやる……」


唇からは呪いの言葉。
頬に伝うは止まらぬ涙。


『苦痛に満ちた死と、永遠の愛を…貴方に』


「…愛してる…ジェイド…」


だから、殺したい。


■□■□
一つの事だけに盲目になるサフィールしか愛せないジェイド。
死にたいわけじゃなく、殺されたいだけ。
愛すべき人の、愛すべき憎しみによって。
……うーん…わかりにくいですね(笑)
どちらも気狂いってことで!(笑)