■幸せな時間■
|
「遅くなっちまったなー…」 夕暮れ時、後ろに伸びた影をちらりちらりと見ながら呟く。 『身長、これくらい伸びたらいいのに』 そんな戯言を半分真面目に考えながらも俺は相手を見た。 「そうですねぇ、どこかの公爵子息様の買い物が思いの外時間がかかりましたし?」 いつもと変わらない、人を小馬鹿にしたような微笑を携える相手に、俺は反論どころかムゥと口を尖らせるしかなくて。 「大事な買い物ほどじっくり見て確かめたりしたくなるだろ?」 「買い物はいいのですが、その後の加工までせずとも良かったと思うんですが」 「べ、別にいいだろ!?…俺が、そうしたかっただけだし…迷惑な―」 「いいえ。むしろ嬉しいくらいですよ?」 「……な、なら…。っだー!!もういいだろ!この話は!!」 後頭部で腕を組んで、ちょっと拗ねた素振りでそっぽを向いてみる。 きっと、ジェイドは今『いつもとは違う』から。 背後から聞こえた微かな微笑の吐息に、俺はほんの少しだけ気恥ずかしさが沸いた。 顔見なくてもわかるよ、それくらい。 今はいつもの笑顔じゃなくて、素直時の笑顔だってくらい。 …だから見れないじゃないか。 ずっと見ていたい顔だけど、ずっと見ていたい微笑だけど。 今それを見たら、俺が照れているのが一目瞭然。それは何だか…格好悪ぃし。 きっと凄く綺麗なんだろうな。 きっと見たら凄く嬉しくなって俺は変な顔してしまうんだろうな。 きっと、ジェイドもほんの少しだけ…気恥ずかしそうな顔をしているような気がしたから。 「ルーク」 名を呼ばれ、振り返る。 そこにいたジェイドはもういつものような笑みで、俺を見ていた。 そしてそっと、手袋越しに左手の薬指に口付けを落として見せた。 「有難う御座います」 「……っ!!」 やっぱりジェイドは性格悪い。 真っ赤になって言葉を失ってしまった俺を見て、クスクス笑っている。 あぁ、もう。 「…ジェイドの馬鹿野郎…」 「それはどうも。その馬鹿を射止めたのはどこのどなたなんでしょうねぇ」 お互いの頬が赤いのはきっと夕日にあてられたせいだと、思いたかった。 |
■■■■ やはりルクジェは可愛い二人が打てるので大好きですハァハァ(笑) 装備品を買いに行った際、密かに貯めたへそくりを持ち出してジェイドにムーンストーンを購入したルク。 そのままじゃ使い勝手悪いので職人さんに頼んで勇気を出して指輪に加工してもらい。 さりげなくジェイドに渡すも、ジェイドは大人なのでばっちりその気持ちを知り、自分もまんざらでもないので悪戯心半分、愛情半分でわざと左手薬指に嵌めちゃったり。 無言の告白&プロポーズです(笑) 流石に『予想外デス…』なルクもびっくりながら嬉しさ半分恥ずかしさ半分。 可愛いカップル誕生…な文です(補足長いよ/笑) |