■早起きさん■(フリングス×ジェイド)


朝日が昇る頃。


寝ぼけ眼で起き上がる。

お互い、一矢纏わぬ姿であることを知ってる故に、彼は薄布団を私に掛ける。
そして代わりに、自らの素肌は朝の清浄で冷えた外気に晒された。

そんな格好では、身体が冷えますよ?

「…っくしゅ…!」


……ホラ、思った傍から。
クスクスといつものように笑ってやりたいが、今は我慢。

だって。
折角。
…勿体ない。


少し早く目を覚ませば、こんなにも可愛いらしい貴方を見られるんですから。

起きている私の前ではあまり見せてくれない一面ですしね。


「……」

暫し、可愛い行動を見せる恋人を盗み見る。
相手は同じ軍人だ。
気配を押し殺し、且つ気配を殺している事を気付かれないように自然体を振舞わなければ。
ちょっとした動きを見る為に、ここまで神経を使うのは一苦労。
だけど、それなりに見る価値はある。

彼は寝ているであろう私を気遣い、静かにベッドから降りると手近な上着を羽織った。
そして素足のまま床を歩くと、何を思ったのか、また此方へと踵を返し。

「……今朝は冷えるからな…」

そう言って折角自分が羽織ったばかりの上着を私の上に掛けた。

(…貴方と言う人は…)

どこまでも、お人好し。


彼は下着を穿き、適当に服を着ると欠伸を洩らした。
本当に、普段は見せない行動ばかりでとても面白い。
寝癖のついた髪も、私が起きる頃には直しているから滅多に見れない。

彼はベッドの下に位置するテーブルへと足を運んだ。
カチャカチャと音がする辺り、恐らく珈琲の準備だろう。
湯気が立ったのか、ふわりとその芳香が鼻腔を擽る。

もうすぐ、起こされる。

「…ジェイド、朝だ。起きてくれないか?」

ギシ、とベッドのスプリングが鳴る。
彼は優しく私の髪を梳きながら目覚めの言葉を掛ける。

私は、うっすらと瞼を開いた。

「…おはよう。ジェイド」
「おはよう御座います。アスラン」


目覚めのいい朝。
早起きは得するって、本当ですねぇ。



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フリジェの朝の風景。
ほのぼのしつつ、可愛げのある朝。(笑)