■Love is...■
愛は不可視。
愛は盲目。
愛は虚ろなもの。
愛は人を変えるもの。


巧みに扱ってこそ、誰かを虜に出来るもの。

本気も遊びも悟られぬよう。




「微温湯如きで私を火傷させられませんよ」
クスクスと嘲笑いながら、相手に視線を送る。
火傷は、自分ではなく相手がするもの。

「お前に嵌り過ぎないように気をつけていたんだがな。…これじゃもう中毒だ」

言いながら、ピオニーは肌蹴たジェイドの首元へ口付けを落とす。

まだボタン二つしか解く許可をしていない。
まだ痕を残す事を許可していない。
焦らして、焦らして、相手の欲を高ぶらせる。

「それを選んだのは貴方でしょうに。」

足を伸ばし、その爪先で相手の下肢を擽るように撫でる。
相手は自分の我侭のなすがまま。
相手は自分の悪戯をされるがまま。
煽って、焦らして、自分の支配欲を高ぶらせる。

片や栄華を誇るマルクト帝国の皇帝。
片やその皇帝に仕える一人の軍人。

二人の空間。ピオニーの私室。
昼間とは違い、月明かりだけが照らす清浄な室内にて。
二人の関係は、此方が与える欲に溺れた忠実な僕とそれを与える主人になる。

あるまじき関係。
愛を与える者とそれに餓えた者。
忠誠など、日が沈み月が昇れば逆転する。
権威など、服を脱ぎ去ればそれも床に落ちる。

ベッドに上がれば、求めると求められる者になる。
ただ、それだけ。



「ジェイド…こっちは…どうする?」
「ふふ…如何しました?そんなに急いで…」

ベッドの上で寛ぐジェイドの片足に恭しく口付けを落とし、軽く持ち上げながらピオニーが問う。
まだジェイドはボタン二つしか、解かれていない。
その白い肌は、まだ曝されていない。

「…脱がせてもいいか?」
「おや、皇帝の貴方にそんな事をして頂いてもよろしいので?」
「ベッドの上では…それは無しだって約束だろう?」

クスクスと挑発的に微笑み相手を見やると、ピオニーは破顔してその爪先に再び口付けを落とす。
懇願する相手に、ジェイドはほくそ笑むとピオニーの額に口付けを落とし、それを許可した。
ピオニーはそれに答えるようにジェイドの瞼にキスをすると、ジェイドの細い片足を持ち上げてハイブーツを
ゆっくりと脱がしていく。徐々にジェイドの衣服を脱ぎ捨てていく事にも快感を感じているかのように。

両方を脱がすと、次にピオニーはジェイドの足の上に軽く圧し掛かり、その手を取る。
そして、足と同じようにその指先に口付けを落とし、唇で甘く食んだ。

「…いいですよ」

ジェイドはその行動の意図に小さく微笑むと、許可をする。
ピオニーは咥えていた指先に歯を立て、器用に手袋を引き脱がしていく。
全てを脱ぎ去ると、細く白い指が見えた。
まるで引き寄せられるようにピオニーがその指先に口付けを落とそうとした瞬間、ジェイドはピオニーの下肢を
その足先で踏みつけた。

「…っ」
「それは許可していませんよ、陛下?」

少しだけ硬度を持ち始めていたピオニーの性器を、ジェイドの足先が嬲る。
普通とは言い難いこの一連の行動に、二人は確かに欲情し始めていた証拠。


ピオニーはぐっと堪え、ジェイドを見上げた。

「お預けばかりは…辛いんだが。」

苦笑交じりにそう呟くと、ジェイドはクスクスと愉快そうに肩を震わせた。

「私の焦らしに欲情しているのは何処のどなたでしょうか?」

ツイ、と足を軽く持ち上げてピオニーの下肢を撫で這わせる。
それは徐々に上へと上げられ、遂にはマルクト皇帝陛下の頤へ。
まるで指先で持ち上げたかのように、綺麗な顔が上を向く。

「…私が、欲しいですか?」

情事の度に問い掛ける言葉。
紅い双眸で相手を見つめながら言うその言葉はまるで。
ピオニーの唇は薄く開くと、微かに笑みを浮かべて鍵となる言葉を口にする。

「…あぁ。欲しい。」

ピオニーはそう言うと、恭しくその足先にキスをした。
足の先から髪の毛の先まで。
これは自分のモノだ。自分にしか与えられないように。
そう、告げられた事がある。


「はい、良く出来ました」

ジェイドはにこりと微笑むと、足を下げた。
ピオニーは軽く諦めにも似たような笑みを浮かべる。

もう、戻れない。
強く強く『依存』という危ない橋をピオニーは渡っているのだ。
そしてそれは歩いた場所が崩れ落ちていき、戻る事が出来ない道。
時々振り替えようとするも、その目を塞いでやる。
他ならない、自分の手で。

「愛していますよ、ピオニー」

この、言葉で。


自分の言う愛は、本気なのか遊びなのか自分でも定かではない。
相手を依存させたい、執着させたい。
自分だけの存在にしたい。それだけ。
だけど、もし飽きたらすぐに捨てるだろう。
永遠など、無いのだ。


私を愛してくれる人に。
重くて、お手軽な愛情を。
貴方が私にくれた心の分だけ、快楽を。


軽薄で濃密。
矛盾を孕んだ、私の愛情。


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微ERO…ピオジェ…これ、裏に置くべきでした?;一応自主制限して打ったんですが…えろティック(笑)
読んで下さった方にも焦らしプレイをしたような気分ですよ(笑)

でももう少しねっとりした雰囲気を打ちたかったです…うふふ、コレを打ち始めたの先月だから…再開した時には殆ど
イメージを覚えてませんのorz

とりあえず、イメージソングはBONNIE PINK『LOVE IS BUBBLE』です。
友人がカラオケで歌ったのを初めて聞いてから頭から離れないんですよ…;;あれ、ジェイド受けで大人な感じのイメージ
思い浮かぶんですが…あれ、私だけ?(笑)
個人的にディスジェもイケると思う。
というかジェイド受けの神と崇める御方の書かれるジェイドのイメージです。セクシー大佐万歳(笑)