■ともだち■
「また、痩せたな?」

「…煩いですよ」


鉄格子ごしの会話。

手首を無理矢理掴まれ、勝手に測られ。
挙句、文句言われた。
いけ好かない、幼馴染に。


「ちゃんと飯食ってるのか?」
「…関係ないでしょう?」
「あるから言ってんだ。」

しつこく、声を掛けてはじっと見つめてくる蒼の双眸。
それを拒絶したくて、見たくなくて、私はずっと顔を逸らしたまま。


「私が罪人だからですか?禁忌を犯し、世界を揺るがした者の一人だから?」

あんまりしつこいものだから、嫌味交じりに相手を嘲笑してやる。

私が欲しいのは、求めているのはお前じゃないと訴える。思い知らせてやる。


「……」

ピオニーは少々、目を揺らしてぐっと言葉を詰まらせた。


(…図星、か。)

どこか覚めた心地でそう考えた瞬間、振り下ろされた相手の手に目を見開く。



そして。

「痛っ!!」

鈍い痛みが、頭に降って来た。


「…何するんですか!!」

頭に、思いっきり手加減無しの手刀を喰らってしまい、思わず睨む。

久しぶりに、視線がぶつかった。


「…お前なぁ…俺が毎日ここに来てる意味わかってなかったのかよ」

珍しく苛々してるのか、ピオニーは苛立ちを露に後頭部を掻き毟る。
不満がある時の、表情は昔と何も変わっていない。


「…罪人の監視でしょう?」

自分だけが何も変わっていない、と言っているかのようで思わず腹が立つ。
わざと、言葉にまた嫌味を込めてやる。

「馬鹿、その程度のことだったら兵にやらせてる。…お前、俺より頭いーんだから違う見方も考えろよな」


どかっと、その場に座り込むマルクトの『皇帝陛下』。

罪人である自分の目の前。
同じ、床なのに。

「顔見知りだから、ですか?それとも私が逃げると?」
「だーかーらぁ〜…」

ピオニーは更にガシガシと頭を掻き毟る。
そして、ぴたりとそれが止んだ。


「…友達の心配をして、何が悪いんだよ…。ったく…お前も、ジェイドも…」


『俺がしたい事を、結局は何もさせてくれてない』


そう、ポツリと呟かれた言葉に、どこか寂しさのようなものを感じた。

同時に、そう本心からの愚痴を零した相手を初めて見た。


「…っと、もうそろそろ戻らないとな…ジェイドに怒られる!またなっサフィール!」

執務をサボり、ジェイドの目を盗んでここに来たらしいピオニーは、そう言うと足早にその場を後にした。


「全く…昔から騒々しい男ですねぇ…」


その背を苛立ちを込めた目で見送ってやる。
いつまでたっても落ち着きの無い男だ、と。

だけど。
その騒々しさの中に、悲しみがあることを知った。
その姿に、心が揺れただなんて認めたくは無いけど。


「貴方も一人なんじゃないですか…」

皆の皇帝。

だけど、一人の人間。
その『ピオニー』本人を、見ていたのはごく内々の自分達だけなのだろう。



揺れ動いた心を、無視したいのに。

「あんな言葉を聞いたら、できないじゃないですか…」


…放って置けなくなる。



■■■■
…あれ?何か不完全燃焼ちっくな終わり方しちまったよ…;;;orz
気にしないで下さいね!気にしたら負けですぜ!!(何)

単にピオは結構淋しがりの甘えんぼで、サフィは弱そうに見えて世話好きなしっかりした子っぽく見えただけです;

大きな子供を世話するヒステリック中年、みたいな(お前はサフィを何だと…!!;;/笑)


ってかたまにはピオニーを小説に出したかっただけの文だったりします。(暴露/ぁ)