■かざぐるま■


「おや、先客ですか」
「貴方もここに?」

頭上から掛けられた言葉に、上を見上げて返す言葉。

そして、二人は互いに微笑む。




「貴方も執務をサボることもあるのですね。」

「貴方も、ということは…大佐もですか?」

二人並んで、座り。
お互い、相手がやりそうにない事を知り、驚き、笑う。

「お互い、皆には仕事一筋というように見られていますからね…」

「…確かに、そうかもしれませんねぇ。」

人気の無い、絶好の隠れ場…もとい、サボり場。
お互いがここを知っていて、お互いが出会うなんて思ってもみなくて。
終始、顔から微笑みが消えることが無い。



天気は快晴。

風は、適度に吹いていてとても心地よい。

穏やかで、息抜きにはとても適した環境。
隣には、安堵するにはとても適した相手。



「…そろそろ、部下が探しにくるのでは?」

「それはお互いでしょう。まぁ、十分に休息できましたからそろそろ戻るとしましょうか」

相手の言葉に微笑み、ジェイドは立ち上がる。

風が吹き、その髪を揺らすのを見ながらフリングスも立ち上がった。

「…綺麗な髪ですね。」

ふと、風に揺れる髪を見つめ、フリングスがそう呟いた。

「いえ、私などの髪より少将の方が綺麗な髪をしていますよ」


紅い瞳で、白の髪を映す。
その瞳を見つめ、フリングスは微笑むと、そっと手を伸ば
した。

辿り着いた先は、風に遊ばれている髪。
その髪を一房指に取ると、歩を進めて髪に口付けを落とす。
ジェイドの唇が僅かに微笑みを携えると、頬を撫でるフリングスの銀糸の髪に口付けを落とす。


「…ジェイド」

そう、紡がれた名が耳に届き、胸に届いた頃。

互いの唇は重ねられるべき場所へと触れていた。



「愛してる」



重ねられた唇の温度も。
吐かれた吐息も。
互いの髪も。
共に過ごした僅かな時間も。

心を繋ぐ、言葉も。


風が全てを流していく。


二人しか、知り得ない秘密。
隠れた、息抜き。


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…あれ?裏文にしようと思ってたのに…普通に穏やかで落ち着いたラブになっちまいました;;
フリングスとジェイドのカプって意外と裏に展開がいきにくいのかしら…?;;


まぁいいや(笑)
読んで下さり、有難う御座いました♪